重文奥家住宅の茅屋根 蔵 木小屋 外回りの漬物小屋の修復工事 令和7年6月度月報
- 全国重文民家の集い
- 7月21日
- 読了時間: 3分
はじめに
先月 文化庁の西山調査官の指導で一部検討事項があるが修復工事の懸案事項が決定したことにより
今月の工事は木小屋の土壁補修、土蔵の屋根 土壁の修復、母屋の茅屋根の挿し茅工事を進めている。
今後の修復工事で、勝手口門 漬け物小屋の外回りの家屋は古材を使用した建造物で傷みが激しく原則的
補強することにより耐久性を得ようとしているが、工事の難航が予測され現在は材料の手配を待ったうえ修復要領を慎重に検討して工事を進めることになる。
木小屋の修復工事


木小屋の北側の3か所の土壁は壁自体が北側に傾き補修工事での修復はむつかしくコストもかかるため (先月文化庁の指導)土壁をいったん取り除き再生工事を行うこととした。(写真―1)
木小屋の南側の土壁は工事前に壁の痕跡は見られるものの壁自体は消滅していたため今回の修復工事で復元工事を行った。(写真―2)
土蔵の修復工事


土蔵の内部は床張りをおこなった。(写真―3)
土蔵は置き屋根及び壁(壁の中塗り 砂漆喰 漆喰)などの工事を順次進めている。
置き屋根を支える石の据え付けも完了した。(写真―4,5)

茅屋根の修復工事


今回の奧家の茅屋根は前回の葺き替えから16年経過している、今回の工事は初めに説明しているように差し茅で修復工事をする計画である。 挿し茅での工事は初めてで5年前から茅屋根の工事専門業者に相談し、下調べをして頂き挿し茅による修復は十分可能であるとの判定をいただいた。
ただ工事の開始期間は4ー5年経過したころが良いとのこと。(葺き替え後11ー12年では工事後の茅の重みで屋根が傷む 垂木他) そのため茅の修復時期を令和7年に設定することになった。
屋根の修復方法は 今後修復後の経過観察を進め技術的にさらにレベルアップを図るべきでこの点については工事の監理を担当する文健協の皆様にそのフォローをお願いしている。(挿し茅後の耐久期間は15年前後と言われている)
その他
今回の修復工事を進める中で近隣の住民の皆様に工事の進行状況をお見せするため8月2日(土)に見学会を実施することにし、案内状を配布することとした。 今回の見学会では母屋の内部をお見せすることはできないが差し茅の現場は足場に上ることでき(一度に20名程度)工事をしっかり見ることできる。